華やかに夜の銀座を舞飛て、お店も構えて?十年。容赦ないのは暦の進み。ママの苦労が滲み出る。
ママすぐ立って 名刺を読んでるふりしても
すぐに黙って 困った顔してしまう
「見えないで」文字が小さくて
陰で密かに「なんて読むの?」
真面(まじ)で困った時ほど眉間に皴が出て
昔はもっと見えて読めてたつもり
着けないで名前わかるまで
他の誰かと変わるように
メガネの度数 もう一度
お店で確かめて
最後の見栄 老眼だけは
少し弱く出来る?
やけに綺麗で 若いつもりの〇〇でも
やがてどっと 歳の重みに悩む
そのうちに 名刺だけでなく
客の顔さえ 見えやしない
メガネの度数 もう一度
お店で確かめて
最後の見栄 老眼だけは
少し弱く出来る?
二十歳のつもりで店に出るのは
かなり 無理が ありそう
確かに 50ほど
メガネの度数 もう一度
お店で確かめて
そんなにうまくは出来ない
それは歳の運命(さだめ)
メガネの度数 もう一度
お店で確かめて
最後の見栄 老眼だけは
弱くして欲しい
北海道男(きたみみちお)作