世界的歴史的な禍が続いている中、どうしても新型コロナウィルスに関する話題が多くなる。
緊急事態宣言が発出された翌日(本日 4月9日)、早くも足並みの乱れが見えてきて情けない。
プライオリティにふらつきがあり、かつ平時の仕組みを大切にして緊急危機に向かうために、結果として小出し感とスピード感のなさが極まる。それぞれ当事者は場面場面で一生懸命にまじめに取り組んでいるのであるが、ベクトルが一緒にならないのは企業経営でよく経験すること。その際最も腹を括り打開していかなければならないのはリーダー。スタッフではない。頑張れリーダー!
今回は、自粛により困っているある課題について、一つの解決アイディアを発信したい。
桜が葉桜になり始め、菜の花が川辺に咲き乱れ、柳の芽吹きが始まる今からが多くの路地もの野菜の旬が来る。
水辺では春の乗っ込み、魚貝も海草もこれからが最盛期となる。
これから何か月この自粛が続くであろうか?
飲食店の自粛は食の生産者を直撃し、農家の皆さんが採れた野菜を泣く泣く廃棄したり、舟を陸に揚げ海を眺めるだけの漁師の皆さんが増えてくることだろう。
私のふるさと北海道では全国の北海道物産展中止のあおりを受け産品が余っているということだ。
資金は回収できずに在庫は増え、ものによっては廃棄せざるを得ない。なんのために働いているのだろうと考えてしまう瞬間もあるだろう。
そこで今私が思うには、国が災害時の支援物資として保存食の国家備蓄を増やす絶好のチャンスではないかと思っている。
例えば、今の缶詰技術は何でも缶詰にできる。真空パックで常温保存品を作る技術も当たり前にある。それ以外にも干物技術、燻製技術、フリーズドライ技術等々日本の食の歴史は古代から保存食の歴史とイコールだ。今でこそ、冷凍冷蔵庫技術の発達があるので生鮮品が楽しめるが、いざという時にはこういった電気の供給というひも付き条件付きの供給は役に立たない。
新しい保存技術の開発も含めて「食の保存」の観点で見直してみてはどうだろう。
今生産者が扱いに困っている食糧について保存食の製造を奨励し、大半を政府が買い上げ災害時の為に備蓄するというのはどうだろう。
昨今の自然災害は統計歴史上初、想定外の災害が続いている。また一昨年のブラックアウトのような事故などの人工災害もありうるだろう。日本国民をとりまく災害リスクは確実に上がっているのだ。
また、限定されたエリアでの災害で留まらない全国規模の災害、人口集中部に起こる災害の場合はとてつもない規模の支援が必要になってくる。その場合食料に関してはどれだけあっても邪魔ということはないだろう。
陸も海も四季に応じた農業、漁業のサイクルを崩さないことは大切だ。サイクルを崩すと農地も漁場も荒れる。荒れないようにするためには生産を続ける必要があり、需要とのバランスが崩れた時に有効な調整弁として働くのは国家備蓄だ。
エネルギーと米(主要穀物)の備蓄は有名だが、トータル栄養バランスを考えると例えば(私の好みで恐縮だが)ほうれん草のお浸し、豚しょうが焼き、ナスみそ炒めの缶詰や真空パックがあったら嬉しい!
災害時に支給される食糧にこのようなものが混じっていたら、あじけない食事も多少華やかになり忍耐と復旧への気持ちも高揚するのではないか。
もし、幸いに、大きな災害が無く穏やかな年月が続いたとしたならば、
海外での災害や貧困等への支援物資としてとして使用しても良い。
日本の食のブランド価値が上がっていけば世界の富裕層はかなり高価なものであっても購入するだろう。
現在、色々なメーカに医療機器の製造を依頼していると同様に、可能なメーカーやJA、JFには保存食加工、増産の要請をしてはどうか。農水省の出番だ。
今回は食料に関して書いたが、色々な分野について言えるだろう。新型コロナ禍は何かを始め、何かを変えるチャンスにも出来るはずだ。
まだ日本でコロナ禍が発生していないときにその準備を進め、コロナ禍の真っただ中にいるときにそれにのみ翻弄されず終息後を考え組み立てている、そういった人財と部署が必要だ。
2020.4